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スペインのトレンド　Vol.3SEMANA SANTA／セマナ・サンタ（聖なる週間）

キリストの復活を祝う日曜日とその前の1週間がセマナ・サンタ、スペイン全土の宗教イベントである。イースター／復活祭は、春分の日から数えて最初の満月の次の日曜日。3月22日から4月25日までの間の1週間で、日付は毎年異なる。カタルーニャ地方では「復活祭／パスクア」と呼ばれ、翌月曜日までの8日間がお祭り。

各地でミサが行われるほか、キリスト像やマリア像が教会から運び出され、おみこしのように大勢の男性によって肩に担がれ、大通りをゆっくりと静かに歩く行事はProcesion／プロセシオン（聖行列）とよばれる。キリストの受難を再現するもので、熱心な教徒たちが実際に重い十字架や鎖（くさり）を担いではだしで歩く姿も見られ、その後に吹奏楽隊や黒装束の教徒たちが続く。お祭りというよりは「儀式」で、終始厳かな雰囲気が漂う。　
目の部分だけ穴の開いたとんがり帽子ですっかり顔を覆い、独特の衣装を身に着けた姿に見覚えのある方も多いのでは。　

祝日になっているのは有名な絵画「最後の晩餐」が行われた聖木曜日、十字架に貼り付けられて亡くなった聖金曜日の2日間。カタルーニャとバレンシアではこれに加えて月曜日までがパスクアで祝日。宗教色が強いお祭りではあるが、最近では1週間まるごと休暇をとってバカンス、という人も多い。公的機関や会社も半日営業のところが多く、学生は約１0日間の春休みをこの時期にあてる。　

セマナ・サンタから逆算した40日間はCuaresma／クアレズマとよばれ、聖書による様々な由来の元にAyuno／アユノ（断食）が行われていた。が、現在は実際に断食が行われることはなく、スペインでは「肉類は食べない」程度に定着している。加えて、近年では厳密に行う人は少なく、カトリック信者であっても普通の食事を続ける人がほとんど。　

この40日間、飲食店では肉抜きの料理がメインになるところが多い。加えて毎週金曜日の昼には「Potaje de Vigilia／ポタへ・デ・ビヒリア」（豆、バカラオ、ほうれん草、ゆで卵のスープ）を食べるのが週間で、日替わりメニューにも登場する。

【 torijjas／トリハス】

セマナ・サンタのお菓子といえば「torijjas／トリハス」。スライスしたパンをオレンジの皮やシナモンで香り付けした牛乳、砂糖をを混ぜた液体に浸し、溶きタマゴをくぐらせて油で揚げたもの。さらに砂糖とシナモンをまぶしたり、甘くしたワインやシロップに浸したりして供される。フレンチトーストのイメージだが、こちらはさらにヘビーな食べ物。もともとは硬くなったパンの再利用である。