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スペインコラム Vol.28 エブロのデルタ地帯の米祭り/Fiestas tradicionales del arroz de Terres de l'Ebret
タラゴナを流れるエブロ川が地中海へと流れ込むデルタ地帯は、バレンシアと並ぶ米の名産地帯。沼地を利用した水田に苗が植えられる6月頃には「田植え祭り/フィエスタ・デ・ラ・プランタダ・デル・アロス(Fiesta de la plantada del arroz)」が、稲刈りが行われる9月から10月ごろにかけては「稲刈り祭り/フィエスタ・デ・ラ・シエガ(Fiesta de la siega)」と呼ばれる米祭りが、デルタのそれぞれの地域ごとに開催される。5月の牡蠣祭りでも有名な地区。
この地域はエブロのデルタ自然公園/Parque Natural del Delta del Ebroに指定されており、たくさんの野生動物が生存する地区として保護されてきた。昔はこの広大な沼地へ人間が足を踏み入れるのは大変困難とされていたが、1860年に水路の整備工事が行われ、稲作がさかんになった。
お祭りでは見物者があぜ道から見守る中、昔ながらの手作業による田植えや稲刈りが行われる。現在はすべてが機械化されているので、地元でも若い人たちには新鮮な風景なのかもしれない。地域によってはお百姓さんのデモンストレーションのあと、希望者は大人も子供も自由に参加できたり、脱穀、精米、乾燥作業まで見学できるところもある。腰をかがめて泥まみれになりながら稲を植えてゆく様子は日本のそれと同じ。
作業の後は、地域ごとに特色のある米料理「魚介入り炊き込みご飯」「イカスミご飯」「塩だら入りごはん」「鴨ご飯」などがふるまわれる。港がすぐ近くにあるので新鮮な魚介類も豊富に手に入り、それらを使った米料理も名物である。
フォークダンス「ホタ」や合奏隊による伝統音楽などを楽しみ、伝統工芸品などの市場も開催。お祭りでの精米作業の様子、伝統音楽、米料理の素敵なビデオはこちらのサイト(ページの下の方、約5分、西語)。
地域の伝統、文化の継承と地元産ブランド米「arroz de Terres de l’Ebre」のプロモーション活動がお祭りの目的。地元のレストランも多数参加して、米料理を組み込んだコースメニューを提供する。
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