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スペインコラム　Vol.29 スペインの春祭り／La fiestas de primevera de Murcia・Feria de Sevilla

1つ目は場所はムルシアの春祭り。アンダルシアとバレンシアの間にある地中海に面したムルシア。セマナ・サンタの翌週に開催されるお祭りで、150年以上の歴史を持つ。ムルシアでは最も重要なお祭りとされており、民族衣装を着て歌って踊り、バラッカと呼ばれる仮設バルで飲んで食べて、1週間を過ごす。農作物の栽培がさかんなムルシアらしく、とれたての作物をたくさん積んで飾られたおみこしのパレード、たくさんの生花を使って自由なテーマを表現したおみこしのパレード、土地の守護神であるフエンサンタ聖人への献花など、様々な行われる。他の地域ではセマナサンタの前のカーニバルの時期に行われる「イワシの埋葬」と呼ばれる行事がムルシアではこの春祭りで行われ、大きなイワシの人形を載せたおみこしが毎年制作されて、お祭りの最終日には燃やされてしまう。

近年は土地の伝統料理、パステル・デ・カルネ／Pastel de carne （ミートパイ）が広場でふるまわれる。ムルシア中のベテラン職人たちが集まり、1万個ものパイを制作し、冷たいビールとともに市民に配られる。

2つ目はセビージャの春祭り。スペイン3大祭りのひとつで、世界中から観光客が訪れる大規模なお祭り。セマナサンタの2週間後の日曜日の夜、会場を飾る数千個の電球がいっせいにともされる「アルンブラド／alumbrado 」で、お祭りが始まる。通りにはカセタ／caseta 」と呼ばれる仮設バルがずらりと立てられ、中ではワインやシェリー酒と簡単なおつまみ類を提供。女性はフラメンコの衣装で頭のてっぺんに大きな花を、男性は丈の短いジャケットに帽子をかぶってエレガントに着飾り、歌って踊る人々、馬車で会場をゆく人々であふれる。連日行われる闘牛と、大規模な敷地に設置される仮設遊園地もお祭りの名物。

このお祭り、今回までは日曜の夜から翌日曜日の夜までの1週間、開催されてきた。週末にあたる金土には全国からの観光客を含めた参加者が集中し、会場一帯はものすごい交通量と人混みであふれる。逆に最終日の日曜日に参加する人は目に見えて少なく、夕方には片づけを始める仮設バルまで見られるという。この状況を改善するため、お祭りの開催期間を2日間増やすことが検討されてきた。開会式を土曜日の夜に行って週末が2回含まれるようにすることで、集中する参加者を分散しようというもの。飲食や観光業界ではこの変更に大歓迎で、さらなる収入増が期待できる。最終決定はされていないものの、開催期間の延長を望む住民は多く、おそらく来年からは9日間にわたってお祭りが楽しめるだろうといわれている。
画像lavanguardia.com