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スペインレストラン紹介

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スペインのレストラン Vol.21タベルナ・ペドラサ/Taberna Pedraza

「タベルナ」は食堂というような意味の、飲食店を指す言葉。サンティアゴ・ペドラサさんと夫人のカルメン・カロさんが2014年春にオープンしたタベルナ・ペドラサは60uほどの小さなお店。

昔のモザイク模様の青いタイルとステンレスを組み合わせたデザインで、観葉植物や香草類の鉢植えが飾られ、シンプルで落ち着いた雰囲気。マドリッド中心部の近くにありながら高級住宅地であり、新旧のショップや飲食店が入り交ざるレティーロ地区にある。

サンティアゴさんとカルメンさんは2年前までは観光業に携わっており、飲食業界とかかわった経験はそれまで一度もなかった。二人とも「大の料理好き」ではあったが、家庭で腕を振るうだけにとどまっていたという。

3年ほど前のそんなある日、カルメンさんが職を失い、二人は将来についての計画を再検討することになる。結果、スペインの各地域にある特産品や昔からの料理店、食材生産店などを勉強するために端から端までを二人で旅してまわることになった。

カルメンさんが旅の先々で実際にキッチンに入らせてもらって研修する間、サンティアゴさんはそれぞれの食材の入手ルートなどを調べた。「本当に楽しく、充実した2年間だった」と振り返る二人は旅から戻ったあと、このタベルナを開店。上質の素材を使い、スペイン各地を代表する本格的な伝統料理がずらりと並ぶメニューが出来上がった。

一皿のポーションは少なめにしてあるので、いろいろな料理を数品注文して試してみることができるワインリストに並ぶ種類は少ないが、生産量が少ない小さなボデガのワインで、良心的な値段設定。テラスで楽しめる、葉巻のメニューも用意されている。

2月に開催された食博マドリッド・フュージョンでの生ハムコロッケコンクールでは、全国から選ばれた他のレストラン5件と共に予選を通過。優勝は逃したものの「開店1年目にしてこんなに大きな舞台に立てるだけで、とても感動している」」とシェフのカルメンさん、「常に最高のものを提供するのが自分たちの目標。ベスト6に選ばれたことで、それが証明された」とはオーナーのサンティアゴさん。

ジャガイモは時期などにより味見をして選びながら使用し、いつも同じ品種とは限らない。ガリシアのケネベック種とアグリア種を交配したものなどを使用。揚げ油を吸いすぎないように、でんぷん質の少ないものを選ぶのだそう。

同店のトルティージャを目当てに訪れる人も多く、1日に作るトルティージャは30〜55個。ガリシアのコレン農場/la casa Coren gallegaから購入する地鶏の卵は1週間に1000個。全国各地の卵を味見して、色、香り、クリーミーさを比較して選択した。

コレン農場の地鶏の卵は産み落とされてから24〜36時間以内にタベルナへ届けられ、産後2〜4日までに提供される。エサの50%以上はトウモロコシ、放し飼いのため、大地の草などもついばむので黄身は濃い黄色で香りも良いという。品質が良い若い鶏の卵(50〜60gr)を選んで使用。

《写真左から》
・イベリコ豚ほほ肉の煮込みとカボチャのピューレ
・ヤリイカのプランチャ
・リンゴ入りのモルシージャ。                                   
※ここまでの画像はすべてtabernapedraza.com より

カルメンさんがトルティージャを作る方法を、新聞エル・パイス/El Paisの食の評論家であるホセ・カルロス・カペル氏がレポートした画像付きの記事の要約がこちら

スペインでもっともおいしいトルティージャのひとつとして有名なガリシアのベタンソ地区/Betanzosの、「メソン・オポテ」でカルメンさんが学んだというトルティージャ・デ・パタタ。

タマネギが入らないということ、ジャガイモを薄く切ること、何度もひっくり返す、ということ以外にも他のトルティージャとは異なる小さなポイントがあるので、実際にカルメンさんが作っている様子の画像と共に、以下に作り方を紹介。

@ ジャガイモ。ガリシアではケネベック種/kennebecのジャガイモが主流で、コルーニャ地方のコリスタンコ村のものが最良だといわれている。 カルメンさんは今回は、カディスのチピオナ村産/patatas agrias de arena de Chipiona (Cadiz)を使用。ナイフで皮をむいてから洗って大きめの短冊形に切り、マンドリーヌ(スライサー)で2〜3mm幅にカット。水にさらしてからザルにあけ、180℃のフライヤーで表面が薄く色づいたら取り出す。

A タマゴ 卵が泡立たないよう、ボールに入れた4つの卵を2本のスプーンで溶いてから塩ひとつまみを加える。ジャガイモには決して塩をしないで、卵に塩味をつけるのだそう。

B 卵が4つでトルティージャ1枚分、ここに300gの揚げたジャガイモを加えて静かに混ぜ合わせる。

C 弱火にかけたフライパンに生地を流し、約30秒ごとに計4回ひっくり返して表面のみを固めて出来上がり。 中身は超半熟の仕上がりで、ナイフを入れるとほぼ液体の卵汁が流れ出すのがカルメンさんのトルティージャの特徴。

画像とレシピは >> こちら

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