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スペイン料理 Vol.41ボージョ・プレニャード/Bollo prenado(チョリソを包んだパン)
今回使ったのは、生ハムの骨の周りに残る赤身の部分をカットしたもの。骨の部分は水から煮出して、だし汁として使う。
ガリシア、アストゥリアス地方でポピュラーな、チョリソのかたまりを包み込んで焼き上げたパンが「ボージョ・プレニャード」。
ボージョは手のひらサイズの丸いパンを指す言葉で、マドリッドでは柔らかいタイプの菓子パン全体をそう呼ぶことが多い。
「プレニャード」は動物がおなかの中に赤ちゃんや卵を持っている状態のこと。人間が妊娠しているときには普通使われないが、あまり上品ではない表現方法としてわざと使われることもある。ということで、丸く膨れたパンの中に大きなチョーリソが入っているこのパンがプレニャードと呼ばれている。
ガリシア地方では昔から作られてきた伝統的な食べ物で、現地の言葉で「ボリーニョス/bolinos」とも呼ばれる。チョリソの代わりに豚バラ肉の塩漬けが入っていることも。
オーブンに入れて焼いている間に、パンの生地のつなぎ目から、チョリソに含まれる真っ赤なピメントンオイルがしみだしてくることもあるが、これはこれで成功なので、気にしない。
その昔、水車の力で石臼(石うす)を引いてトウモロコシの粉を作るときに、臼の縁からこぼれ落ちる粉を集めて生地を練り、手元にある豚ばら肉などを包んでオーブンで焼いていたのがプレニャードの始まりだと言われている。パン生地は強力粉と水、イーストだけのもの、卵が入るもの、トウモロコシの粉入りなど地方や家庭により様々。 昔はオーブン内の湿度を上げるため、パン生地と一緒にベルサ(キャベツの一種で、ガリシアの名産品)の外側の葉を入れて焼いたり、エンパナーダを焼くときにオーブンの隅っこに入れて焼いたりしていたのだそう。
アストゥリアス中部では夏祭りの翌日に、他の地域では7月最終日曜日のお祭り(地域により色々なお祭りがある)の日の名物として、たくさんのボジョ・プレニャードが焼かれる。
マドリッドのパン屋さんではあまり見かけないが、年間を通して全国各地で行われるフェリアの屋台には、必ずと言っていいほどガリシアのパン屋さんが並び、大きな昔ながらのパンに混じってこのプレニャードも山積みで売られている。
ガリシアと隣り合わせのポルトガル北部にも、このパンを食べる伝統があるそう。
スペイン料理 Vol.41
ボージョ・プレニャード/Bollo prenado(チョリソを包んだパン))
【材料】大きいもの10個分強力粉 1 kg
ぬるま湯 400ml
生ハム 200g
オリーブオイル 150ml
タマゴ Lサイズ1個
生イースト 80g
塩 20g
チョリソ 5本
ボールに強力粉を入れ、火山状に真ん中をくぼませる。くぼみに分量のぬるま湯で溶かした生イーストとタマゴを入れ、すこしづつ崩しながら粉と液体を混ぜる。
オリーブオイルと塩を加え、さらにこねる。生地に加える水分は、使用する粉の状態に応じて調整する。
作業台に打ち粉をして生地を取り出し、10分ほどよくこねる。
なめらかな生地になったらひとまとめにしてボールなどに入れ、ぬらした布巾かフィルムで覆って約30度の場所で一次発酵させる。今回はオーブンの発酵機能を利用。
1時間ほどで約2倍量まで発酵したら、手でかるく押さえながらガス抜きをして10個に分けて丸める。
表面がつるつるのボール状にしてからめん棒などで生地をのばし、チョリソを中央において包む。本来はチョリソ1本をまるごと包めるサイズに生地を成形するが、ここでは3〜4pにカットして、まん丸のパンにしてみた。チョリソから脂分が染み出すので、底になる部分は厚めにしてしっかり閉じる。
生地のつなぎ目を下にして、オーブン用のバットに並べて2次発酵させる。表面が乾燥するとうまく膨らまないので注意。
再び約2倍の大きさまで膨らんだら、表面にオリーブオイルを塗る。
190〜200度のオーブンで約15分加熱し、きれいな焼き色が付いたら完成。パンの大きさやオーブンの特徴に合わせて温度と焼き時間は調整する。
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